北大医学部の学生です。札幌で家庭教師やってます。

東京の開成高校から北海道大学医学部医学科にやってきました。札幌市内で生徒を募集しております。web授業も対応予定です。詳しくは生徒募集のページをご参照ください。

雑談させて下さい ~リンクを作るということ~

「勉強というのは、リンクを作ることなんです。」
駿台予備学校英語科のトップ講師、大島康彦氏の言葉です。
私は大島氏の授業を短期の講習でしか受けたことがありませんが、ものすごく印象に残っています。
英文を読んでいたのが、言葉の成り立ちの話になり、古代史の話になり、考古学の話になり、生物の進化や医学の話になり、と連想ゲームのように次々と脱線を繰り返し、テキストが殆ど終わらないまま講習が終わってしまいました。
そうか、世の中ってみんなつながってるんだな、と得心しました。英語というよりは、物の考え方を学びました。
勿論、こんな講義は私にはできません。東大哲学科を卒業し、博学で知られる大島氏だからこそできるものです。

知識を結びつけることは学習において非常に有用です。
人の記憶は、エピソードとして保存されます。だから、一つの事柄をそれだけ覚えようとするよりも、何でもいいのでその事柄に関するエピソードを作った方が記憶される確率が高いのです。
知識をリンクさせるにはエピソードを作ることが必要です。つまり、関連づけることは、記憶のきっかけになりうるということなのです。

また、知識を結びつけることは、お子様の学習意欲を向上させることにもつながります。
勉強が好きではないお子様に良く見られるケースとして、勉強がその科目だけの領域として切り離され、実感を伴わないものになってしまっている、というのがあると思います。
これを防ぐために私は、勉強のお話をする時に、他の科目の知識や、お子様が経験としてご存知なことや、一般的な常識とリンクさせるように努めています。
このようにすることで、勉強は宙に浮いたものではなく、他の勉強や生活と有機的に関連しているんだということを実感していただき、少しでも学習意欲につながるはずだと、私は考えております。

たとえば、中学受験や高校受験の社会の雨音図の問題を解説する時
私はまず「夏にさ、鉄棒とか遊具とか触って『あっつ!!』ってなることあるよね」と理科の熱の伝導の話をします。
そこから、夏と冬の季節風の話をします。
そして「なんで北海道って寒いんでしょう?なんで沖縄って暖かいのかな?」と今度は太陽の南中高度の話をします。
この辺りの知識を踏まえた上で、各地の気候の特徴をおさえていきます。季節によっては、天気予報をスマートフォンで検索して、お見せしながら解説します。ただポイントをおさえるだけでなく、エピソードや自分の体験談も織り混ぜながらお話ししていきます。
たとえば瀬戸内の気候に触れるときには、満濃池のお話をして、そこから空海のお話をして、平安仏教のお話まで飛んでいきます。そして「弘法にも筆の誤り」などことわざにも言及するかもしれません。
他にも色んな話ができそうです。小豆島のオリーブの話、屋久島の杉の話、北海道のスキー場の話、川が氾濫して地元が水没した話…

覚えさせるというだけなら、多分このやり方は非効率です。気候の分野でいうなら、雨音図と何度もにらめっこして、同じような問題を何周もして暗記するのが、きっと手っ取り早いでしょうし、点数も上がると思います。
でも、そんな勉強面白いですか?
勉強が好きではない子がついてこられるでしょうか?
多少非効率でも、脱線しながら進んだ方が、長い目で見れば良いのではないか
私はそう考えております。